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ボランティア

1998/07/28

環境保全・社会奉仕

地球がおかしい!

ここ数年、世界各地で続く洪水、ハリケーン、熱波などの自然災害や異常気象に、誰もが不安を覚えているはずだ。その原因をすべて地球温暖化に帰することはできないが、密接な関係があることは間違いないだろう。

それでも、温暖化のさまざまな影響──北極の氷が溶けて海面が上昇し、いくつもの島や都市が水没する。氷河は減少し、干ばつや洪水の頻度が増加。食料難や疫病が流行する──を「不確実な未来予測」のように感じている人は案外多いのではないか。

そんな認識の甘さを吹き飛ばすのが、ドキュメンタリー映画『不都合な真実』(1月20日公開)だ。元アメリカ副大統領アル・ゴアが世界各地で続けている温暖化についてのスライド講演を中心にまとめた作品で、昨年5月、アメリカで公開されるや社会現象といえるほどの大ヒットに。ロサンゼルス映画批評家協会賞(最優秀ドキュメンタリー映画賞)をはじめ、さまざまな映画賞も受賞している。
足りないのは「行動する意思」
「われわれは人類史上最大の危機に直面している。この100年ほどで世界人口は4倍に膨れ上がり、技術力は1000倍以上にもなった。その結果、地球の健康状態は危機的状態に陥っている」と、ゴアは語る。

「この映画を観るときには目と耳を傾けるだけでなく、心で受け止めてほしい。そして、温暖化問題を解決するための一員となってほしい。私たちにはこの危機を救うさまざまなすべがある。足りないのは『行動する意思』だと思う」

講演の様子を軸に据えた内容に、「よくできた教育映画」という感想をもつ人もいるだろう。ゴア自身も、映画化の話があったとき、「スライドショーがどうやったら映画になりうるのか、見当もつかなかった」と、米雑誌のインタビューで答えている。

だが、さすが政治家と思わせる話術とさまざまな科学的データや図表を駆使したプレゼンは、それだけで一級のエンタテインメントになっている。

政治システムを変えるための方法論

彼が30年以上も前からこの問題に関心をもち、地道に活動を続けてきたことにも驚かされる。きっかけは大学時代に聞いた講義だったという。議員になってからは温暖化問題に関する議会の公聴会開催にかかわったり、各国首脳との話し合いを行ったりした。そして、2000年の米大統領選で大接戦の末、ジョージ・W・ブッシュ大統領(共和党)に敗れた彼は、スライド講演活動に本格的に取り組むようになる。

「30年以上この問題を訴え続けてきたが、ホワイトハウスを去った後、ある結論に達した。やはり政治システムを変えるには、個人単位、家族単位、地域単位で人々に直接語りかけていくしかない、と。アメリカや世界を変えるには、世論を動かさなくてはと思ったんです」

この映画では、多くの政治家たちが目をそむけようとする「不都合な真実」と共に、もう一つ明らかになるものがある。それは、ゴアという人間の魅力だ。

大統領選当時は、有能だが人間としての温かみが感じられない「サイボーグ」のようだと揶揄されたアル・ゴア。だが、本作で、そうしたイメージがすっかり覆される。

講演場面の間にはさまれる独白や、個人的体験を描いたシーンからは、彼の情熱や使命感、人としての優しさが伝わってくる。ゴアが熱心に活動を行う背景にあるのが、1989年に息子(当時6歳)を自動車事故で失いかけたという体験だ。このとき、自分にとって宝物である息子が生きる「地球の将来」を改めて意識した──そんなエピソードも胸に迫ってくる。

京都議定書のホスト国に課せられた義務を問う

現在、世界各国が温暖化問題に取り組む指針となっているのが、97年に採択された京都議定書だ。当時、副大統領だったゴアもこの交渉に参加しているが、結局アメリカは議定書を批准していない。石油業界との結びつきが強いとされるブッシュ政権は、「CO2と温暖化の関係は不明」という立場をとっている(少しずつ変化をみせてはいるが)。

「アメリカが温暖化対策でリーダーシップをとるよう、さらに説得を続ける必要がある」と、ゴアは言う。

「日本は、人類にとって転換点となった京都議定書のホスト国として歴史に名を残すだろう。英語の『クライシス(危機)』には警告の意味しかないが、日本語の『危機』には「機会」という言葉も含まれている。温暖化は大きな危機だが、そこには状況を改善するチャンスが残されている」

『不都合な真実』も、警鐘を鳴らすだけでは終わらない。省エネ家電を使う、公共の交通機関を使う、車の燃費基準を上げる、再生可能エネルギーを使うなど、環境にやさしい生活を続けることでCO2の排出量を70年代のレベルに引き下げることが可能だと示す。

「子供が熱を出したら、医者にかかって指示をあおぐでしょう? 地球は今、熱がある状態です。科学者のアドバイスに従って治療していかなければなりません」

「私たちにはできる」と力説するゴア。彼に共鳴する人が1人でも増えれば、温暖化を逆戻りさせる大きなうねりが地球を包み込むはずだ。

アル・ゴア Al Gore

【プロフィール】
1976年に初めて下院議員に選ばれ4期をつとめた後、上院議員に。93年にアメリカの副大統領に就任。クリントン大統領の経済チームで中心的役割を担う。92年には温暖化防止を訴えた著書「地球の掟 文明と環境のバランスを求めて」(ダイヤモンド社)を出版、ベストセラーに。現在は、ゼネレーション・インヴェンストメント・マネージメント社、カレントTVの会長、アップル・コンピュータ取締役会メンバー、グーグル・インク上級顧問、ミドル・テネシー州立大学客員教授などを兼任。